アシッド ガラスの表面に,酸の腐触によって文様をつける技法。瀝青やパラフィンの保護膜をガラスの表面に被せ,文様に沿って保護膜を削り取り、フッ化水素と硫酸の混合液に浸す。酸に腐触された凹面と保護膜で被われていた凸面で,文様が彫り出される。
アップリケ アール・ヌーヴォー時代によく用いられた加飾法の一種であらかじめ文様の形に準備した色ガラスをまだガラスが熱いうちに熔着し,冷却後グラヴィールで細部を削って仕上げる。アプリカッシオンともいう。
アルカリ石灰ガラス アルカリとして酸化ナトリウムを含んだソーダ石灰ガラスがほとんどで,日常便用しているガラスの容器や電球、板ガラスなどに用いられる。→ソーダ石灰ガラス
ガラスの色は金属酸化物によって作られる。原料を調合する段階でそれらを混入し、溶かして発色させる。
当工房での使用名 主な含有金属
セレニウム
胴赤 還元銅
ルビー色 金赤
水色 SKブルー 酸化銅
グリーン 酸化クロム、他
紺色 コバルト 酸化コバルト
x 骨灰
青緑 トルコブルー(シアン) 酸化銅、他

イリデッセンス ガラスの表面が自然に風化したり,土中や空気中の酸で腐蝕してできた薄膜層に光の干渉が起きて,虹色・真珠色,玉虫色に光る現象をいう。銀化ともいい、現在では、自然に銀化したものをイリデッセンスといい、ラスター彩などで人工的に銀化したものをラスターといって区分している。
ヴァルトガラス →森林ガラス
ヴェネツィア・ガラス ヴェネツィアにあるムラーノ島でつくられるガラスで、ムラーノガラスとも呼ぶ。
レースガラスが有名である。
エア・ツイスト 飲用グラスの脚(ステム)などによく用いられる空気によるねじり紐のような装飾。円筒形にしたガラス種の側面に凹形を付け,その上にまたガラスをかぶせると・凹部分に空気が封入される。それを加熱して引き伸ぱしながらねじると,棒状の空気が螺旋状に絡みあった美しい装飾になる。
エッチング ガラスの表面を何らかの方法で削り取って方法のことで,アシッドとサンドプラストがある。
エナメル彩色 エナメルによってガラスの表面に絵付けをしていく技法。
エナメルはガラス質の顔料のため,彩画したのち低温で焼き付けると,ガラス素地になじんで一体化する。特に13〜15世紀にかけて、イスラーム・ガラスで盛んに用いられた。その後,ビザンチン,ヴェネツィア,スペイン,ボヘミア,ドイツなどへ伝わり,19世紀末のアール・ヌーヴォー時代にもよく用いられた。
エングレーヴィング ガラスの表面を削って文様を彫ることをいうが,一般にはホイール・エングレーヴィングのことをいう。直径数ミリから数センチの銅円盤に研磨材を入れた油を垂らし,回転する円盤に下からガラス器を軽く押し付けて,凹面彫刻をする技法。文様部分を削る場合と,文様を残して周囲を削り取り文様を浮き彫りにする場合がある。微妙に深さを調節できるため,人物文などは身体の丸味や筋肉をも表現することが可能で,かなり写実的な文様を彫ることができる。この場合,深く彫ったところほど白っぽくなって,見た目には浮き上って見える。装飾方法としてはカッティングと同じであるが,できあがりの文様はエングレーヴィングのほうがはるかに絵画的である。グラヴィールともいう。
オペーク・ホワイト・ガラス 白磁に似せた不透明な乳白色ガラス。ミルク・ガラスともいう。16世紀初め,ヴェネツィアでつくられ,特に18世紀後半に,フランス,ドイツ,ポヘミア,中国などで流行した。
そのほとんどがエナメル彩色で装飾されている。

型吹(かたふき) 耐火粘土,金属,木,石などでつくられた型の中に,吹き竿の先につけたガラス種を吹き込んで成形する方法。吹型成形,吹込成形,吹き込みガラスなどとも呼ばれる。紀元前1世紀には,すでに型吹きガラスがつくられていたといわれる。現在では主に木型か金属型が使われ、型はいくつかに分かれていて,成形したガラスが取り出しやすいようになっている。金属型は大量生産に向き,型内側の文様も写しとることができる。水型では細かい器形や文様を出すことはむずかしいが,金属型は複雑な文様も可能である。

カッテイング

回転するグラインダーにガラス器を押しつけて切り込みを入れ,研磨しながら幾何学的な文様を彫る方法。工程は,荒摺(砂ずり),中摺(石かけ),仕上げ(磨き)の3段階があり,荒い削りから徐々に滑らかにしていく。グラインダーの種類を便い分けることによって,さまざまな文様を生み出す。近世,ボヘミア・ドイツ・イギリスなどでも盛んにこの技法が用いられた。日本では切子ともいい,「霰」,「魚子」など,江戸時代から名前の付いている伝統的なデザインもある。

カポジョン ガラスの表面に熔けた色ガラスの雫を熔着すると,表面張力によって半球形の丸みをもった小塊になる。宝石カポジョンカットに似た効果が生じるためにこの名があり,デザイン上のアクセントとして,有効な技法である。
紙りん 折った新聞紙を水で濡らしたもの。ガラス器の整形に使う。
カメオ・ガラス 貝や縞めのうでつくられたカメオに,出来上りも技法も似ていることからこの名がある。被せガラスの一種。異なった色ガラスを,一層または数層被せかけ,文様部分を残して被せかけたガラスを削り取るとレリーフ文様が残る。17世紀米の中国でつくられた乾隆ガラスにもこの技法が使われている。

被せガラス ガラスの素地の上に,一色または数色の色ガラスを被せて作る。カッティング,グラヴィール,エッチングなどの方法で上から被せかけたガラスを削り取り,文様をつけるもの。たとえば透明な素地に紅色や藍色のガラスを被せ,カッティングをほどこせば江戸切子や薩摩切子のようになり,白や黄の不透明色素地に青や赤の色ガラスを被せ,文様部分を残して削り取れば,中国の乾隆ガラスのようになる。また,色素地に乳白色ガラスを被せて削れば、カメオ・ガラスのようなレリーフ文様ができる。
キャスト 型の中に熔けたガラスを流し込んで成形する方法。鋳造ともいう。紀元前8世紀のメソポタミアで,すでにこの方法が用いられていた。最も簡単な鋳造ガラスは雌型に熔解したガラスを単に流し込んで,そのまま冷まして成形する、少し手の込んだものにロスト・ワックス法(蝋型鋳造)がある。まず蝿で出来上がりの形をつくり,その周囲に耐火粘土を付けて雌型鋳型をつくる。そして鋳型に熔解したガラスを流し込めば,蝋は熔けて蒸発し,蝋のあった部分にガラスがゆきわたる。徐冷後,耐火粘土の鋳型をこわして中のガラスを取り出す。
ギヤマン 江戸時代のガラスの呼称。ギヤマンのほかにピイドロという呼称もあり,その使い分けははっきりしないが,ビイドロが一般的なガラスの総称であったのに対し、ギヤマンは,彫刻されたガラスをさしたようである。江戸後期には彫刻されたガラスを指したし,透明度が高く堅固で丈夫なガラスや高級な輸入ガラスを指したようである。
切子 カッティングのこと。また,カッティングによって装飾されたガラス器のこと。江戸切子、薩摩切子、綾切子。
ギルディング 日本では鍍金ともいい,金箔や金粉,金彩などを用いてガラスの表面を装飾することの総称。すでにローマ時代には,金箔を用いたゴールド・サンドウィッチ・ガラスや,吹き竿に取ったガラス種に金箔を貼り,吹いて金箔を散らせたガラスなどがっくられていた。ヴェネツ・イア・ガラスには,熔けたガラスに金粉をふりかける技法がみられ,イスラーム・ガラスにはエナメル.顔料と一緒に金彩を用いた技法もみられ石.その他,ドイツ,ポヘミア,スペイン,イギリスなどのガラスにいろいろな方法でギルディングは用いられる。
グラヴィール →エングレーヴィング
クラウン法 板ガラスをつくる最も古い方法。先ず宙吹きで球形をつくり,ポンテ竿に取って吹き竿をはずしたのち,円板状にする。それを切って板ガラスにした後、その工程の途中に,クラウン(王冠)に似た形ができることからこの名がある。

クリスタル・ガラス 酸化鉛を多く含んだ鉛クリスタル・ガラス,酸化カリを含んだカリ・クリスタルガラスがあるが、現在は酸化鉛を多く含んだ鉛クリスタル・ガラスのことを一般にクリスタルガラスと呼ぶ。鉛の含有量が増えるほど,屈折率や比重が高くなるので,カッティングをほどこせば光の反射が美しく,たたくと響きの良い澄んだ音がする。透明度が高く,重量感もあって,高級なガラス食器や工芸品に用いられる。本来は,水晶(クリスタル)のような無色透明なガラスのことをいい,ルネサンス時代,ヴェネツィアでつくられた無色透明のソーダ・ガラスは・ヴェネツィア・クリスタル・ガラスとして珍重された。17世紀初めのポヘミアでつくられた,それ以上に透明度の高いカリ・ガラスは,ポヘミア・クリスタル・ガラスとしてもてはやされた。鉛クリスタル・ガラスは1670年頃イギリスでつくられた。
乾隆(けんりゅう)ガラス 中国清朝の乾隆年間(1735〜96〉につくられたガラス器のことをいう。乳白色や黄色の不透明素地に色ガラスを被せ,松,梅,竹などの植物文を浮き彫りにしたガラス器がよく知られるが,エナメル絵付けをほどこしたものもある。いずれも中国独特の色使いや文様で瓶・鉢・壷などがつくられているが,中でもスナッフ・ポトル(鼻煙壷)が多いのが特徴である。
原料
基本原料 その他の原料
硅砂 酸化鉛       クリスタルガラスに含まれる
ソーダ灰 炭酸カリウム    ボヘミアン・クリスタルに含まれる
石灰 硼砂(ほうしゃ)   耐熱ガラスに含まれる

コア・ガラス 紀元前16世紀のメソポタミアで始まり,エジプトなどでもよく用いられた,最も古い技法がコア・テクニックで,その技法でつくられたガラスをコア・ガラスという。吹きガラスの技法以前,広く一般的に使用されていた。初期の頃はおそらく,わらに粘土質の泥などをつけ,それをコア(芯〕として熔けたガラスを巻きつけて瑞をつくったと考えられる。文様などは,素地の色とは異なる色ガラスを巻きつけ,冷めないうちに針のようなもので上や下にひっかいてつける。徐冷した後,コア部分をかき出す。
コテ テフロン製、カーボン製の棒。丸や四角のものがあり、ガラス器の底を平らにしたり、口を広げたりする場合に用いる。 
虹彩(こうさい)ガラス →ラスターガラス
コールド・テクニック 成形,徐冷の終ったガラス器に、加工したり加飾したりすることの総称。エッチング,エングレーヴィング,カッティング,カメオ技法,ダイヤモンド・ポイントなどの方法がある。
ゴールド・サンドウィッチ・ガラス ガラスとガラスとの間に金箔などを挾んで装飾したガラス。すでにローマ時代にはつくられていたが,最も盛んになったのは18〜19世紀のボヘミアである。

 

 

薩摩切子
(さつまきりこ)
江戸後期に、薩摩藩でつくられたカット・ガラスのこと。薩摩藩主の島津斉興が江戸からガラス職人四本亀次郎を呼び
よせて切子技術を応用させ,当時の日本ではぬきんでたカット・ガラスの製造に成功した特に薩摩の紅色ガラス(銅発色と金発色)は有名である。
サンドブラスト エッチングの一種で,ガラス面に金剛砂という非常に細かい砂を吹き付けて文様を付ける方法。ガラスの表面に保護膜を貼り,文様部分を切り取る。そこに圧搾空気によつて金剛砂を吹き付けると,文様を切り取ったガラスの露出部分に砂が当って微細な疵が付き,艶消しの文様ができる。空気の圧力,金剛砂の粒子の大きさ、吹き付け時間などを変えることによって,文様の濃淡,深さが調整でき,微妙で繊細な文様も彫ることができる。作業は,砂が飛び散らないように,中の見える専用の箱の中にガラスを置き,両手だけを入れ,覗き窓から中を見ながら行う。現在は,金剛砂の代用でプラスティックの細粒を用いることもある。
徐冷(じょれい) ガラス器を徐々に冷ます工程をいう。たとえばガラス器の厚い部分と薄い部分では冷め方が違ってくるため,そこに歪みができる。歪みのあるガラス器は,わずかな衝撃でも壊れやすいため,その歪みをなくすために徐冷窯に入れる。以前の徐冷窯は600度前後の温度で、そこに翌日まで入れておいたが,現在の徐冷窯は下がコンペアになったトンネル状で,ガラス器を入れる入口は温度が高く,コンペアで何時間かかけてゆっくり出口に運ばれるにしたがい,徐々に温度が下がるというもの。徐冷窯ができる前は,灰に入れて徐冷した。「なまし」ともいう。
シリンダー法 板ガラスをつくる方法の一つ。まず宙吹により大きな円筒形をつくり,それを縦に切り開いて板状にする。ルネサンス時代にガラスの鏡の需要が高まり,ヴェネツィアでは16世紀初頭にガロー兄弟が水銀アマルガム法による鏡を開発したことから、ヴェネツィアの板ガラス製作は盛んになった。そしてより大きな面積の板ガラスが求められるようになり,18世紀になってようやくシリンダー法が実用化した。
森林ガラス 中世のドイツやオーストリアで,燃料の薪が手に入りやすく,ぶなの木などを燃やした灰をアルカリとして用いるため,森の中にガラス窯が築かれた。そこでつくられたガラスを森林ガラスという。灰汁を用いていたため原料に不純物が混じり、ガラスは緑色黄色,茶色を帯びている。レーマーやベルケマイヤーなどは,森林ガラスの一種である。ヴァルト・ガラスともいう。
ステム ワイン・グラスなど,士に飲用グラスの杯の部分と台の部分の問にある脚のこと。
ステンドグラス 色ガラスを鉛の桟にはめ込み,鉛桟をハンダで止めながら絵や模様をつくっていくガラスをさす。代表的なものは,中世以降の大聖堂の窓に取り付けられた絵や模様を表した窓ガラス。当時は,板ガラスや色ガラスの製造、ガラスの切断など,非常に高度な技術を要したが,ゴシック建築の発達と共に窓が大きくなり,大聖堂の窓となったステンドグラスも透週光を利用したすぱらしい色彩のものが多くつくられた。技術の発達と共に、ガラスの表面に,人の顔の目鼻だちなど,グリザイユやエナメルなど顔料を焼き付けて絵付けする方法もでてきた。
ソーダ石灰ガラス

珪酸,酸化ナトリウム,酸化カルシウムを主成分とするガラスで,原料として珪砂やソーダ灰や石灰石を用いる。ガラスには,鉛ガラス,ソーダ石灰ガラス,カリ石灰ガラス,ソーダ・バリウム・ガラス,棚珪酸ガラスなどがあるが,現在身のまわりにある食器類、(クリスタル・ガラスを除く)瓶類,電球,板ガラスなどのほとんどが,このソーダ石灰ガラスである。

象嵌 工芸品の加飾法の一つ。ガラス器本体にミレフィオ-リやパーツなどの材料をはめこんで模様を表す技法。。
ダイヤモンド・ポイント・エングレーヴィング ガラスの表面にダイヤモンドで疵をつけて文様を彫る技法。もともとは,ヴェネツィアの宝石商が鋭く尖ったダイヤモンドを鉛筆状の先につけた道具'(ダイヤモンド・ペンシル)をつくって細工をしていた。その後,17世紀のオラン
ダで発達した。文様は,線や点をほどこして,繊細で絵画的柱表現ができる。日本では,江戸時代にギヤマン彫りといった。またこの方法のうち,点描だけで文様を表現する方法をステップリングという。
鋳造 →キャスト
宙吹(ちゅうぶき) 吹き竿の先にガラス種を巻き取り,空中で竿をまわしながら息を吹き込んで成形する方法白この宙吹きで、ガラス器の大体の形が出来上がり,それに把手・脚・台などを付けて装飾をしたり,細工をしたりする。宙吹きのローマ・ガラスが多く残っていることからも,既にローマ時代にこの技法が用いられていたことがわかる。この技法によりそれまで高級品であったガラス製品が,一般にも広く使われるようになった。
ツイスト ガラスの中に封入されたねじれた紐のような装飾文様をいう。飲用グラスのステム部分などによく見られる。空気を使ったエア・ツイスト,乳白色ガラスを使ったホワイト・ツイスト,色ガラスを使ったカラー・ツイストなどがある。
ティア・ドロップ 主に飲用グラスのステムにとじ込められた「涙のしずく」形の空気泡のこと。はじめは偶然にできたものだったが,現在では装飾として意図的につくっている。ステム部分に小さな窪みをつくり,熔けたガラスで被うと,そこに空気の泡がとじ込められる。ステムを引き伸ばすと,泡も一方が引き伸ばされてアーモンドのような形になる。それが涙のしずくに似ているのでこのように呼ばれる。
デイアトレッタ 3〜4世紀のローマ時代によく製作された透かし浮き彫り模様の杯。釣鐘を逆さにしたような形状で,表面全体に文字や神話の場面、環状文様などが透かし彫りされ,外側の文様をほどこしたガラスとポティとなる内側のガラスとは,小さな支柱でつながっている。文様部分が杯の部分とは色違いのものもある。ガラスを削りとり文様を透かし、彫りで浮き出させるには非常に高度な技術が必要とされ,現存するものもわずかである。

トンボ玉

ほとんどが不透明な色ガラスに,他色ガラスでいろいろな模様を付け,紐通しの穴をあけた玉。紀元前15世紀頃,すでにエジプトでつくられていたと考えられている。トンボ玉という日本独白の呼び名のいわれははっきりしないが、江戸時代に,一般的になったといわれる。

ヌッペン・ベッヒャー

 

14世紀頃からドイツ,ポヘミア,オランダなどでつくられた,口縁部を除いたボティ全体に,突起があるタンブラーのこと。この突起は,竿の先につけた熔融ガラスをボディに軽く押しつけて離すという作業でつくられ,最初は不規則に付けられていたが,時代を経て縦や斜めに規則正しく並べて付けられるようになる。ヌッペンはドイツ語で「イボ状の突起」,ペッヒャーは「コップ・杯」の意でその形状からこの名が付いた。

パート・ド・ヴェール ガラス粉に粘着剤と色を付けるための金属酸化物を加えて練り,雌形の中に詰めて型ごと窯で焼きあげたガラスのこと。フランス語で「ガラスの練りもの」の意
バーナー・ワーク →ランプ・ワーク
玻璃(はり) 水晶のこと。ガラスが水晶に似ているからか,ガラスの古称として使われる。
ビイドロ 江戸時代のガラスの呼称。中国から伝来した「玻璃」(水晶のこと)「瑠璃」と呼んでいたが,江戸時代に南蛮文化が渡来して「ビイドロ」と呼ぶようになる。ポルトガル語でガラスを意昧するヴィドロ(Vidro)からきている。→ギヤマン
ピンサー 洋箸とも呼ばれピンセットのような形の道具の一種。まだ熔けたばかりのやわらかいガラスを、曲げたり、つまんだり・ひっぱったりするのに用いられる。
ファソン・ドヴニーズ 16世紀末から17世紀にかけ,ヨーロッパ各地で製作されたヴェネツィアロのガラスこと。当時のヴェネツィアのガラスはヨーロッパの王侯貴族にもてはやされ、注文が相次いだ。
吹きガラス 吹き竿に溶解したガラス種を巻き取って,息を吹き込んで成形するガラス。すでに紀元前1世紀の東地中海でこの方法が用いられていて,ローマ・ガラスには数多くの吹きガラスが見られる。宙吹と型吹とがある。
吹き竿 ガラス製作の工程で使用する金属性の長いパイプ
プレス・ガラス ガラス器の出来上りの形を内側にかたどった鋳鉄の雌型(凹型〕と雄型(凸型〕のうち,雌型に熔解したガラス種を入れ,雄型で押して成形する。1827年,アメリカで考案され,ガラス製品の量産につながった。カット・ガラスに似せて成形することはできるが,実際のカッティングのように鋭く切れ味の良い文様はできない。しかし,カッティングではできないデザインを成形することが可能である。
フロート法 現在主流の板ガラス製造法。熔解窯からの熔けたガラスを熔融錫の上に流し入れ,浮かべて製造する。これによって両面ともに平潜で人きな板ガラスができる。板ガラスは,時代によっていろいろな方法で製造されたが、20世紀半ばにイギリスでフロート法が開発'されると,この方法が板ガラス製造の主流となった。
フンペン 16世紀半ばから18世紀にかけてドイツ・ボヘミア・シレジアなどでつくられた飲用グラス。把手などのない円筒形で,底がわずかに出っぱっている。精巧なエナメル彩がほどこしてあることが多く、紋章,肖像,動物などが描かれた。杯とは,小さな支柱でつながっている。文様部分が杯の部分とは色違いのものもある。ガラスを削りとり文様を透かし、彫りで浮き出させるには非常に高度な技術が必要とされ,現存するものもわずかである。
ぺ一パー・ウエイト 装飾性の高い文鎮。紙を押えるという役目柄、見た目よりかなり重い。最近はコレクターズ・アイテムの対象となっているため、形や装飾などがさまざまなものがある。一基木的に半球形であるが,数角形に面取りがしてあるもの、扇形のもの、脚台がついているものなど,ヴァリエーションがある。ぺ一バー・ウェイトそのものが具象的な形(たとえば,りんご,鯨,とぐろを巻いたヘビなどの形)をしている場合もあるが,多くは,底の部分にミレフィオーリや動植物,肖像などの装飾があり,それを半球形の透明ガラスで封じ込めている。
ベルケマイヤー 森林ガラスの一種。レーマーの杯の部分が球状ではなく、漏斗のように口縁部が広く開いた形のものをいう。
ホット・テクニック ガラスが熔融状態でまだ熱いうちに細工をすることの総称。熔けたガラスを熔着して加飾する,型押しをして文様を付ける,異なった色のガラスを被せる,金箔や色ガラス片を挟んだり熔着したりする。金属酸化物などをまぶす。ピンサーで細工するなどの方法がある。
ホワイト・ツイスト 竿の先に取ったガラス種を丸めて形を整え,その側面に乳白色ガラスを棒状に付ける。さらにその上に透明ガラスをかぶせる。竿と反対の位置にポンテ竿を付け,両方にねじりながら引き伸ばすと,中に乳白色の螺旋状のねじり文様の入ったガラス棒ができる。これがホワイト・ツイストである。中に入れる乳白色ガラスの数を増やすことによって、出来あがる文様は繊細になり,組み合せることで複雑なものもできる。乳白色ガラスのかわりに色ガラスを用いれば,カラー・ツイストになる。
ポンテ ガラス器は,吹き竿の先に付けた熔融ガラスをさまざまに細工して成形するが,ボディを成形し終ったガラス器の口縁部をつくる時,ガラスがまだ柔らかい状態でどこかに置くわけにはいかないので,鉄棒の先に少量の熔融ガラスを付けて,成形途中のガラス器の底に押し付ける。そうすることにより,底に付いた竿が支えとなり,吹き竿をはずして口縁部を成形することができる。この底に付ける竿をポンテ竿といい,その先に付ける少量の熔融ガラスをポンテという。
マーブル・ガラス 大理石(マーブル〕に似せたガラスのことで,すでにローマ時代につくられていた。その名のとおり,元は不透明の乳白色ガラスに数種類の色ガラスを透かし込んで,流し絵のような大理石模様を付けたガラスのことであったが,後に,乳白色ガラスだけでなく,数種類の色ガラスで締昌塔のような漢様を付けたガラスもつくられ,これもマーブル・ガラスと呼ぶ,15〜17世紀のヴェネツィアやアール・ヌーヴォー時代によく製作された。
ミレフィオーリ・ガラス 断面が花模様,色ガラスの重層文やその他の形象文などの金太郎飴状のガラス棒を輪切りにして,型に並べて加熱したガラスのこと。モザイク・ガラスの一種で,紀元前後からアレクサンドリアやローマで知られていた。16世紀のヴェネツィアで再びつくられるようになって,その文様からミレフィオーリ(millefioli,イタリア語で「千の花」の意)と呼ばれる。日本では万華ガラスともいう。
ムラーノ・ガラス →ヴェネツィア・ガラス
モザイク・ガラス モザイク状の文様をしたガラスのこと、色とりどりの色ガラス・模様ガラスの小片を耐火粘上の雌型の中に敷きつめ、雄型をかぶせて押える。型の中のガラスが熔融しない程度に加熱すると,小片が顧着してモザイク文様のガラス器となる。モザイク技法は,古代メソポタミア,古代エジプトでも用いられていた。リボン・ガラスやミレフィオーリ・ガラスも,モザイク・ガラスの一種である。
ラスター・ガラス 自然の銀化とは区別して、人工的に真珠色や虹色を出したガラスをさす。ガラスの表面に金属酸化物の被膜をコートすることによって,光の干渉がおきて真珠色や虹色となる。イスラーム陶器のラスター稿からヒントを得たとされ,アール・ヌーヴォー時代に多くつくられた。特にアメリカのルイス・ティファニーは、「ファヴリル・ガラス」という名で商標登録し、盛んに製作した。虹彩ガラスとも呼ばれる。→イリデッセンス
ランプ・ワーク ガス・バーナーでさまざまなガラス管やガラス棒を焼き,焼いた部分が柔らかくなってきたところで細工をする。理化学用ガラス器,動物、ビーズ類,アクセサリー類,置物など,身のまわりの細々としたものが多く,主に手作業であ。理化学用ガラス器などは,実験用や計測用があり,非常に細かい数値の細工まで要求されるため,職人の長年の勘と高度な技術が必要となる。現在の日本ではガス・バーナーを使うことからバーナー・ワーク,ガス細工とも呼ばれ,欧米では以前,ランプの炎を使ったことからランプ・ワークと呼ばれる。
リボン・ガラス モザイク・ガラスの一種であるが,文様がモザイク状ではなく,帯状のものをさす。緑,青,黄,赤といった色ガラスを縞のように並べ、後はモザイクガラスと同じ方法で加熱し融着させる。→モザイクガラス
坩堝(るつぼ) 耐火粘土でつくられた.ガラスを熔解するためのつぼ。この容器を窯に入れてガラスを熔かす。現在は,西洋坩堝が多く使われ,その窯の形態により,オープン・ポットとクローズド・ポット(猫堝)の2種類がある。また,日本つぼと呼ばれるかめのような形の容器があり,これは斜めにして使用する。


Copyright (C) 2001 Glass Art MIYAZAKI . All Rights Reserved.