台湾
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台湾「日本台湾芸術文化交流展」について
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「今回の展覧会は台湾と日本の芸術文化交流において重大な意義があり、今後の発展に大いに期待をしています。」
平成25年2月7日から3月31日まで開催された台湾展のオープニング前日、台湾 馬英九前総統が謁見の際、黒木国昭に向けた言葉である。
– 言葉通りの展覧会となった。 –
ガラスの聖地ヴェネチアでの歴史的展覧会「琳派と広重の展開」展から約4年。
その間、日本は東日本大震災や、それに伴う原発問題など、先行きも不透明な沈鬱とした時代へと足を踏み入れようとする最中であった。
しかし、台湾国民はどの国よりも早い多額の義援金を日本に送り届けた。
あふれ出る感謝の気持ちに黒木の心は大きく動き始める。
「日本と台湾との良好な絆を更に深めたい。
いま私に出来る事はガラスを通した芸術文化の交流である。」
― 日本はまだ生きている。あきらめない ―
2000年から交流を続ける台湾において、黒木はこれまでに無い大きな展覧会の開催を心に誓った。
~台湾国立歴史博物館「日本台湾芸術文化交流展」~
「ガラス人生50年」の大きな節目の年を迎えていた黒木を、国をあげて盛大に祝うかの如くに行われた今展は、世界的芸術家ミケランジェロ展との同時開催としても大きな反響をもたらし、期間中3万2千人もの人々を魅了した。
依然、日本のガラス芸術界において確固たる地位に立つ、国の「現代の名工」黒木国昭。
しかし彼のガラスへの敬愛と挑戦は、高位に留まるどころか新たなる境地へと更に進化を遂げていたのである。
これまでの名作に加え、最新作や台湾をモチーフにした作品を惜しみなく展示した館内は黒木ガラスの世界観一色に染まり、現実世界を見失う程の異空間を作り上げた。
それはまるで、巨大な国立歴史博物館自体を一つの作品として仕立て上げた様でもあった。
なおも黒木は、台湾国立芸術大学において公開制作を行い台湾のガラス工芸を目指す若者たちへ、高い技術と熱いメッセージを教示した。
– 束の間の2ヶ月間であった。 –
無事に会期を終え、華やかに閉幕した「日本台湾芸術文化交流展」は終始、驚きと感動に包まれていた。
そして毎日のように押し寄せる台湾メディアに対して、彼は何度も都度丁寧に語り続けた。
「両国間の絆をいっそう強く・固く結びましょう。
若者たちの未来志向を日本人として応援します。」
それからもう一つ・・
― 台湾へ心から感謝を伝えます。 ―
ガラス工芸作家 黒木国昭がまた一つ大きな〝生きた証〟を残した。